岩波書店の本。朝日新聞に負けないレベルだと感じるが、安定のあちらよりの本。
1945から60年代に、韓国と日本が国交正常化するにあたって繰り返した会談と条約に至るまでの経緯。
その様子は、韓国の過大な要求のゴリ押しと日本の妥協という態度の繰り返し。
日本は両者両得を目指し様々な妥協案を韓国に提案している。 このパターンは国民性だろう。
「こちらが譲れば相手も譲ってくれる。お互い様」と考える日本と「泣く子は餅を一つ余計もらえる」「相手が引けば押す」という思考方式の違い。
今の対韓弱腰外交はここから始まっていたのだなと感じた。
だが著者のスタンスは韓国側なので、日本側こそが強硬姿勢で高圧的に見えるらしい。
「日本は荒唐無稽で傲慢無礼。韓国は友好善隣外交政策」「日本はできる限り譲り援助するべき」「日本側の誠意のなさにより何度も交渉が決裂した」と日本叩きをしている。
著者は韓国が妥協している姿勢に対して「残念だ」と口惜しがっている。もっと押せば韓国の要求が通ったのに…と言わんばかり。
竹島の日本の領有権にまで疑いの目を向けているような記述もあった。
日本側は「朝鮮は当時国際慣例上普通に認められていた方式により取得された。しかも日本による統治は、諸外国にあるような植民地支配の搾取ではなく投資。韓国に恩恵を与えた。多額の資金を投入し地域開発に貢献した。
学校や鉃道や港を造ったり農地を造成した。経済的、社会的、文化的向上と近代化は日本側の貢献だ。感謝されることはあっても日本が謝罪する必要など微塵もない。恨まれる覚えはない。日本が来なければロシアか中国が来ただろう」という見解だった。
著者と韓国側の見解は「日本人が来なければ韓国はもっとうまくやっていたかも知れない」「警察や刑務所をつくったのは日本人のためであろう」と考えている。
戦後は、朝鮮で平和的な生業を営んでいた日本人の私有財産まで朝鮮政府によって没収された。日本政府は韓国に「置いてきた財産を返せ」と要求したが拒否された。(インドが独立した時、インドは国内にあったイギリス人の財産を認めていた)
さらに民間人が金を払って買った骨董品や美術品であっても、朝鮮政府から「文化財は原産国に返還するのが国際的に認められている。文化財をすべて返還しろ」と要求された。だがそんな慣例はない。
法的義務もない。国際的に見ても文化財を返還したのはインドネシアに対してオランダが行った以外に例がない。そこで日本は「国が保有している物に限り贈呈という形であれば返還します」と妥協した。
戦後日本は拿捕された日本人漁民を送還してほしかったし、韓国人密入国者を強制送還したかった。韓国は漁民を人質にして「韓国産のコメを買ってくれれば釈放してやるよ」と要求を通そうとした。
60年代に入り強硬だった李承晩が下野する。共産勢力に対抗するため、また経済建設のために日本からの援助の必要性を感じていた韓国は対日政策が変わる。
日本は「韓国人被害者へ個人補償もいたします」と国際法理論の水準を上回る意見を繰り返し述べた。それに対して韓国は「その支払いは韓国政府の手で行うので補償金をまとめて渡しなさい」と主張。韓国はどんな方法で何を基準に一人いくらと金額を出すのは技術的に不可能なので政治的に妥協した。
韓国の対日請求要綱の中には「個人の請求権を破棄する」という内容も含まれているが、韓国政府は自国内からの批判を恐れ、公表しなかった。
また韓国人被害者個人の日本に対する戦後補償は、韓国政府が国内法で補償することになった。しかし手続きが煩雑で申告期間が短く広報も十分ではなかったので申告しないままでいた人が多かった。また必要な資料が揃えられず補償から除外された人も多かった。
著者は新たに条約を結んで慰安婦を救済するべきだとする。なぜなら65年に締結された協定を見ると、三億ドルの無償供与について「韓国の経済発展に役立つものでなければならない」とあるが「個人請求権補償に使われなければならない」とは書いていないし、政府が個人に代わってその請求権を消滅させる協定を結ぶことは国際法上できないから。
また韓国は「北朝鮮の請求権も韓国の請求権に含める」とした。その方が莫大な金額を受け取れるから。
そして両国は金の名目を「請求権に対する補償金」にするか「経済協力金」にするかで揉めた。それぞれ自国を説得させるために韓国国内では「請求権」とし、日本国内では経済協力という表現を使った。
しかしその金の性格に「お詫び、償い、賠償、補償」の意味が込められていることは明らかであった。
そのように、条約はそれぞれに都合良く解釈でき、双方が受諾しうる表現が用いられた。それがこの条約の大きな欠陥だ。
互いに合意できない部分を曖昧にしたことにより今日まで食い違う大きな傷跡となったから。著者はさらに「反省と謝罪の言葉がないのはけしからん」と批判している。
地政学名言集
一、隣接する国は互いに敵対する。
二、敵の敵は戦術的な味方である。
三、敵対していても、平和な関係を作ることはできる。
四、国際関係は、善悪でなく損得で考える。
五、国際関係は利用できるか、利用されていないかで考える。
六、優れた陸軍大国が同時に海軍大国を兼ねることはできない。その逆も然り。
七、国際政治を損得で見る。善悪を持ちこまない。
八、外国を利用できるか考える。
九、日本が利用されているのではないか疑う。
十、目的は自国の生存と発展だけ。
十一、手段は選ばない。
十二、損得だけを考える。道義は擬装である。
十三、国際関係を2国間だけでなく,多国間的に考える。
十四、油断しない。
十五、友好,理解を真に受けない。
十六、徹底的に人が悪い考えに立つ。
十七、科学技術の発達を考慮する。
「国家に真の友人はいない」
-キッシンジャー
「隣国を援助する国は滅びる」
-マキャべリ
「我が国以外は全て仮想敵国である」
-チャーチル
「危険が身に迫ったときに逃げ出してはいけない。かえって危険度が倍に膨らむ。決然として立ち向かえば、危険は半するであろう」
-チャーチル
過剰に擁護し、過剰に信じ、過剰に愛を与えることこそ、悪を育て、自分で考える力をなくし、打たれ弱い国民を作っていく。
-だめ男
「ごね得」と「タカリ」を容認する朝鮮社会
日本軍に連れてこられたと母が叫ぶ隣で息子が違うでしょと叫ぶ場面は必見。
http://kanryuudaisuki.ldblog.jp/archives/34158607.html
日本の「とりあえず謝罪」が通用しない理由
http://kanryuudaisuki.ldblog.jp/archives/33726135.html【謝罪必須】日本は世界でも稀に見る残酷な統治をした。 ←クリック
検証 日韓会談
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